リンネ寝室3 シーンテキスト
リンネ
「こうして……汝(なれ)と……、
二人きりになるのは……久方振りじゃな……」
リンネの部屋へと足を踏み入れた俺は、
最初からそうと決まっていたかのような迷いの無さで近づき、
その身体を、そっと抱き締めた。
リンネ
「ん…………いくら……識っていた事とはいえ……、
……やはり、寂しいものは……寂しいのじゃ……」
拗ねたように言葉を零して、
俺の胸に顔を埋めるリンネ。
――全ての未来を知覚し、ただ傍観する者。
そんなリンネにとっては、今宵の俺の来訪ですら、
既知たる事象の一つとして認識しているのだろう。
リンネ
「ああ……そうじゃ……汝が……こうして……、
優しく……吾(あ)を抱き締めることも……、
少しだけ申し訳なさそうに微笑むのも……識っておるのじゃ……」
リンネ
「それでも……汝の……温もりや……、
吾が覚える悦びは……既知を易々と上回り……、
例えよう無き……情となって……心を満たす……」
言の葉に乗じるようにリンネは顔を上げ、
優しく、ただ触れるだけの口付けをする。
リンネ
「……ちゅ…………ん……ふ、ぁ……」
会えない時間が募らせた、
彼女の内なる切なさが、
柔らかい唇の感触と共に伝ってくる。
それだけで、もう、だめだった。
リンネ
「――きゃっ!?」
気づいた時には、
情欲の発露に任せてリンネを寝台に押し倒していた。
珍しく上がった彼女の驚きの声に、
自然と頬が緩んでしまう。
リンネ
「な、汝の行動を……解していても……、
……其の乱暴さには、驚いて当然じゃ……」
俺を見上げる彼女の美しい深蒼の瞳が、
少しだけ潤を帯びていた。
刻を詠むことの出来る異能を持つ彼女だが、
その実、恐がりで、涙もろいところがある。
その理解と、無意識に感じてしまう温かな感情は、
互いに長い時を共に過ごしたという証でもあった。
リンネ
「……ば、馬鹿者……じっと、見つめるでない……」
前よりもずっと、感情の起伏を見せてくれる。
それが、どうしようもなく嬉しかった。
リンネ
「こんな吾がいることを教えてくれたのは……、
……他でもない……汝なのじゃ……」
言って、リンネは俺の首筋に両手を伸ばし、
ゆっくりと抱き寄せる。
そして、導かれるように豊かな双乳に顔が埋まると、
俺は、途方もない安らぎに包まれていくのを覚えた。
リンネ
「……こうして、ただ抱き合っているだけでも……、
吾は嬉しいのじゃが……」
リンネ
「汝は……それだけでは満足できぬのじゃろう……?」
その返答とでも言うように、
ゆっくりと俺はリンネの衣服を脱がしていく。
リンネ
「……んっ……あ…………」
未踏の雪原の如き白き柔肌が露わになると、
ほんのりと、リンネの頬が桜色に染まる。
リンネ
「不思議な……ものじゃな……」
リンネ
「汝を愛おしく思う度……肌を重ね合わせる度に……、
……羞恥や……戸惑いが……増えていく……」
リンネ
「……汝に、吾が身を見られている……、
……そう考えるだけで……頭が……、
どうにかなって……しまいそうなのじゃ……」
互いの多くを知るにつれ、
それと同じだけ、
互いに多くの情を見つけていく。
今、こうして感じている愛しさも、
きっと、彼女無しでは得ることのできなかったものだ。
リンネ
「……吾の準備は……もう、出来て……おるのじゃ……」
ゆっくりと開かれる両の腿の間に、
淫らな熱を帯びた愚息を近づける。
リンネ
「……ん、ぁっ…………」
薄く濡れる淫華を、剛直が進み入ると、
その先端が柔く温かな感触に包まれた。
リンネ
「ふぁ、ぁぁ……相も、変わらず……ンっ……、
……汝のモノは……大きいのぅ……」
嬉しそうにリンネが微笑むと、
まるで、子供をあやすように、
膣肉が陰茎を締め付けてきた。
それによって生じる甘美な刺激が、
ぞくりと腰に奔ると、
より多くの快楽を求めて心が動きだす。
リンネ
「ふぁっ、ぁあ……奥に、あっ、ぁあ……、
汝の、が……入って……んっ、はぁンッ……」
こちらの動きに合わせて、リンネも腰を動かし、
より深い場所で互いに繋がろうとしていく。
全てを識る彼女だからこそ、その動きは的確で、
安堵すら覚えながら、俺は己を最奥へと進ませる。
リンネ
「んっ、ぁああ……こ、これで……はぁ、ンッ……、
ぜ、全部……入って、しまったのじゃ……」
リンネ
「……はぁ、はぁ……善いぞ……是より先は……、
吾も……刻を詠むような……無粋はせぬ故……、
汝の好きなように……吾の躯を……喰らってくれ……」
リンネ
「どんな淫らな行為も……無軌道な……想いも……、
……全て……この身で……受け入れたいのじゃ……」
リンネ
「……だから……今宵だけは……吾だけを……、
吾のことだけを……想って欲しいのじゃ……」
リンネの紡いだ、その殊勝な言葉が、
聡明な彼女らしからぬ心細さを含み、
俺の心に愛おしさを産み落とさせた。
そうして灯った情火が
そのまま腰の動きへと転ずる。
気づけば、乱暴とさえ言えるほどの苛烈さで
俺は、愛する者の美しい身体を、貪っていた。
リンネ
「――――あっ、ぁあっ、ふぁあっ、あぁンッ……!
いきなり、は、激し……すぎるのじゃ……あっ、やぁんッ……!」
獣じみた律動にリンネは戸惑いを見せながらも、
ぎゅっぎゅっと、膣を締め付けて応じてくれる。
明確な意思を備えたように吸い付く膣ヒダが、
精を放てと甘い誘惑を囁いてくるようだった。
リンネ
「ふぁあンッ……んっ、ぁあっ、ああぁンッ……!
また、吾のナカで……大きく、なってぇ……っ、
あっ、ぁああっ、ンッ、そんな……だめ、なのじゃぁっ……!」
打ち込まれ続ける快感が大きくなるにつれ、
抱えきれなかった感情が
涙となってリンネの頬を美しく濡らす。
その頬に唇を寄せ、身を重ね、諸手を繋ぎ、
よりきつく、より激しく互いを撚り合わせ、
いつまでも繋がっていたいと総身で訴える。
リンネ
「吾も……んっ、ぁあんっ……吾もぉ……ッ……、
汝と……ずっと、こうして……いたい…………っ、
あっ、ぁあっ……もっと、深く、繋がりたいのじゃ……」
彼女の求めるまま、更に律動を速める。
同時に、抽挿に合わせて淫らに揺れる双乳に触れると、
リンネは嬉しそうに、艶やかな笑みを浮かべてくれた。
リンネ
「んんぅ……はぁっ、ああンッ……いい、のじゃ……、
汝の好きなように……乱暴に……して、ほしいのじゃ……っ、
あっ、ぁあんっ……ふぁ、ぁあっ……!」
柔らかな乳房を思いのままに揉み込みながら、
綺麗な桃色の乳輪に口付けをすると、
悦びを示すように、更にきつく膣内が締まりを強めた。
リンネ
「はぁぁ、ンッ……んっ、あぁっ、気持ちいい、のじゃ……ッ、
あっ、ぁああっ……汝のその、所作……んっ、ぁあっ……、
まるで……赤児のように、愛らしくて……ふぁあ、ああンッ!」
リンネ
「んッ……ふぁあっ、あぁあっ、やぁっ、ああんっ……!
もう、らめっ……なのじゃぁっ……あっ……んんんッ……、
気持ち、よすぎて……イってしまいそう、なのじゃ……っ!」
俺の手を、ぎゅっと掴んで、
不安な様子を見せるリンネ。
リンネ
「はぁ……はぁ、ンッ……いや、なのじゃ……んんっ……、
ひとりで、イクのは……いや、なのじゃぁ……あっ、ぁああっ……、
汝も、一緒に……いっしょ、にっ……んっ、やぁあ、ぁンッ……!」
心身を埋め尽くすほどの快楽の大海に、
リンネの理性が呑み込まれると、
そこに残ったのは年相応の幼い感情だけだった。
永遠とも思えるほどの時と、
想像能わぬ孤独を牢で堪え忍んだ過去を持つ
彼女だからこそ、その内奥に潜む寂しさは強い。
それを少しでも和らげられるのなら、と
強く彼女を抱き締めて、共に果てようと
最後の苛烈さを抽挿に込めていった。
リンネ
「あぁっ、んっ、ふぁあっ、ああっ、ぁああんっ!
もう、らめぇっ……イクぅっ……イッて、しまう、のじゃぁっ……!」
リンネ
「ふぁっ、あああんっ、んっ、ンンッ……だ、して……、
吾のなか、にぃっ……いっぱい、吐き出して……っ、
ぜんぶ……受け止める、からぁ……だして、ほしいのじゃ……っ!」
リンネ
「んっ、ふぁあっ、ああっ……あっ、ぁあああンッ!
イクぅ……あっ、や、らぁっ……こんなのっ、んっ、んんっ……、
気持ちいいに、決まって……あっ、ぁああっ、ふぁあああンッ!!」
ビクン、と大きく身を震わせ、艶やかに鳴くリンネは、
その絶頂を示すように、媚肉の抱擁を限りなく強める。
そうして与えられた強烈な快楽と、
満たされていく心魂の悦びに従い、
そのまま彼女の最奥に白精を注いだ。
リンネ
「――ふにゃあぁあンンっ、んぁっ、ぁあああンンッ……!!
入って、くるのじゃぁ……あっ、ンンッ……汝の、がぁ……っ、
もっと……もっと、吐き出して……あッ、ふぁあぁあンッ……♪」
それ以外に愛おしさを伝える術を知らぬかのように、
何度も何度も精液を放っては、
リンネの美しい身体を抱き締める。
リンネ
「あぁっ、ふぁああっ……まだ、でてる……のじゃ……、
はぁあっ、ぁっ……汝の……子種が……ンっ、ぁあ……」
心地よさと安堵に微睡むリンネが、
深蒼の瞳で俺を愛おしそうに見つめている。
そこに母性とも呼べるほどの優しさを見て取ると、
吐き出したことで生じた欲望の空白を満たさんと、
俺は彼女の細身を抱き締めて、寝台に身を沈めた。
リンネ
「ふぁ、ぁ……まだ、汝の熱が……、
吾の中で、暴れ回っているようじゃ……」
言いながら、俺の頭に手を伸ばし、
ゆっくりと髪をとくように撫でていく。
リンネ
「ふふっ……先刻まで、荒馬のようだったというのに、
……今では、乳呑み児のような甘えぶりじゃな……」
否定する気も、言葉も、持ち合わせていなかった。
戦い続きで積み重なった疲弊と心労が、
彼女との目合いを機(かなめ)として、
無防備に、さらされていくのを感じる。
リンネ
「……そうか……汝も、寂しかったのじゃな……」
リンネ
「ああ……分かっておる……。
汝ほど、心に傷を負った者も、そうはおるまい……」
リンネ
「互いの傷を舐め合うことに……、
……何を恥じることがあろうか……」
リンネ
「生に傷つくから……人は優しさの名を……深く識っていく……」
リンネ
「だからこそ……汝の想いも……行動も……言葉も……、
全て吾にとっては……優しさ以外の何物でも無いのじゃ……」
それは、俺の言葉でもあった。
傷持てる互いだからこそ、
こうして求め合い、補い合う。
リンネ
「その割には……なかなか……会いに来てくれなかったのぅ……」
意地悪く言を紡ぐ彼女だが、
それも愛しさから来る拗ねだと解せるほどに、
今の俺は、リンネという少女を識っていた。
だから、言葉を捧げる。
寂しい想いをさせて悪かった、と。
リンネ
「べ、別に……謝る必要など……ないのじゃ……」
リンネ
「じゃが……」
リンネ
「再びこうして、汝に求められ……、
……そして、求めることのできる此の刻の来訪に……、
ただ、感謝するばかりなのじゃ……」
リンネの指先が俺の頬に添い
対する瞳が、互いの情を映す。
魂が透き通るほどの感慨が、
其の美しさの中に、在った。
リンネ
「また、何時……刻が重なるかは、分からぬ……」
リンネ
「じゃから……今宵を、吾に刻ませておくれ……」
唇が重なり、そして、離れる。
リンネ
「……汝となら……この一瞬すら、
永遠に出来るはずじゃから……」
そうして、微睡む意識の中、
俺たちは同じ言の葉を紡ぐ。
この想いが、何処までも広がっていくと、信じて――――
リンネ
「……愛して、おるぞ……これまでも……これからも……」