リンネ寝室2 シーンテキスト
薄暗い室内で、
俺とリンネは無言で抱き合っていた。
合わさった互いの胸を通して、
心音が共鳴しているような気がした。
リンネ
「ここから先は汝(なれ)に任せる。
何が起こるかは識っているが、
吾(あ)が何を感じるのかは……正直、分からぬ……」
僅かに抱擁を緩め、横目にリンネの顔を見る。
そこには、今まで見たこともないような、
不安の色が浮かんでいた。
リンネ
「気づいてくれるな……。
……吾は、少し臆しているようだ……。
見ろ、手が震えている……これは、何じゃ?」
微かに震える小さなその手を俺は握った。
冷たい、
はかない手だった。
リンネ
「暖かいな……汝の手は……。
識っているのに……どうしてこんなにも、
心安らぐのだろうか……泣いてしまいそうじゃ……」
その言葉は機(かなめ)だったのだろうか。
リンネの言の葉の帰結が、
その美しい深蒼の瞳に涙という感情の発露となって
俺の眼前に姿を現した。
リンネ
「……嘘じゃ……吾が、泣いている……?
斯様な未来を吾は識らぬ……王子……
吾は――んんっ!?」
愛しさが口づけとなって、俺とリンネを繋いだ。
淡い熱が舌先へ灯り、リンネの口内へと流れていく。
リンネ
「ふむぁっ……ん、ちゅる……ちゅ……んんっ……、
んぁ……はぁ……はぁ……何と甘美な……接吻じゃ……。
胸が壊れてしまいそうな程に、高鳴っておる……王子……」
決して溶けない氷像のようだったリンネの美貌が、
甘やかな感情に蕩けている。
何かが、変わっていくのを感じた。
リンネの心内だけじゃなく、
もっと大きな何かが
ゆっくりと動きしているような予感がしたのだ。
リンネ
「汝が欲しい……。
心から……そう想っている……。
不思議じゃ……言の葉が、輝いて見える……」
リンネからの口づけを受けた途端、
俺達を取り巻いていた見えない鎖が、
呆気ないほどの脆さで破砕したような気がした。
純粋な親愛と生命欲求が、
逸物を狂おしいほどに硬直させ、
リンネを欲してそそり立っている。
リンネ
「相変わらず元気なこじゃのぅ……見ろ、吾もこんなに……、
こんなに濡れておるのじゃ……たとえ未来が吾を拒もうと、
汝だけは……どうしても欲しい……王子……吾は、汝だけが……」
三度目の口づけを経て、
俺とリンネは互いの性器を寄り合わせた。
ばかみたいに膨らんだ亀頭を、
無垢な陰唇に触れさせて、
ゆっくりとその口を拡げていく。
リンネ
「んっ……ふ、ぁ……んんっ……」
僅かにあった互いの隙間を埋めるように、
リンネが俺に抱きつく。
もっと優しく、もっと穏やかに、もっと愛しく。
どこまでも緩慢な挿入を以て、
俺自身がリンネに埋没していく。
リンネ
「ひぅっ……あ、ああ……痛ぅッ……こんなにも……ふっ……ぁ……、
こんなにも、痛いのだな……識っていたのに……これ、は……、
王子……吾は、耐えられないかも……ひぐっ……んんっ……!」
赤子のように身をすくませ、
必至に俺に抱きついては、涙声で訴えてくる。
リンネの無垢な身体と心が、俺の腕の中にあるという、
ただそれだけの事実が、どこまでも俺を満たし、
溢れる慈愛にこの身が灼かれる気さえした。
リンネ
「まだ……すべて、入らないのか?
ふぅんっ……ぅう……こんな……痛いのは……嫌じゃ……。
王子……もっと、優しくしておくれ……ひぅッ……ふぁ……」
清流のような長い黒髪の上から
小さな頭を撫でながら、
リンネに、もっと力を抜け、と囁く。
もっと俺を信じて欲しいと、
願うように言葉を放ると、
リンネは涙を浮かべた瞳で俺をみつめ、小さく頷いた。
リンネ
「委ねておる……汝に、吾を託すと……あの牢獄から救われた時から、
汝に未来を委ねたのじゃ……だから、こんなにも近くに……んっ……
こんなにも愛しく……汝を……汝をっ……ゃ、あぁンッ……!」
全て入り終えると、
リンネはその身を大きく強ばらせた。
荒い息で沈黙を満たすと、
リンネのか細い声が、
俺の耳たぶに触れた。
リンネ
「動いて……ほしいのじゃ……。
汝の欲を……心を……全て受け止めたい……。
痛いのは嫌じゃが……これで終わりはもっと嫌なのじゃ……」
いいのか、という俺の言葉に、
リンネは小さく何度も頷いた。
リンネ
「いいから、さっさとせぬか!
痛くてかなわんのじゃ……。
それに……いずれは、気持ちよく……なるのじゃろう?」
怒気を含んだ声音を向けられても、俺の中には愛しさしかなかった。
リンネが一つ一つその感情を見せる度、
得も言われぬ感動が沸き上がるのだ。
そうして、俺はゆっくりと、
だけど次第に、
腰の動きを早めていった。
リンネ
「ひぁんッ! んんっ……んっ……んぁンっ!
こ、声が……ひぅっ……出てしまう……」
リンネ
「は、恥ずかし……ひゃんっ!
うぅ……んっ……王子……やはり……んんっ……、
痛いでは、ないかっ……全然、気持ちよくなんて……いゃあんッ!」
そうは言うものの、
リンネの反応は徐々に甘いものに転じていった。
リンネ
「あぁんっ……あ、ああっ……んんっ……や、ぁあんッ……、
おかしいのじゃ……んっ……膣中が……熱く……びりびりと……、
んぁあんっ……ふぁっ……変なのじゃ……ひゃああんっ!!」
少しだけ激しく、
肉棒を突き入れると、
リンネが大きな嬌声を上げた。
それと同時に、リンネの膣壁がせり出し、
俺の肉棒をより強く圧迫し始めたのだ。
リンネ
「これ、がっ……んんっ……性交の快楽……なのかっ……?
ひぅっ……んっ、あぁ……ぁっ……少し……気持ちよく……、
なってきた、かも……んんっ……ぁあんっ……」
俺の肩に両手を置くと、
リンネは熱を孕んだ吐息とともに、
短い接吻をしてきた。
その唇が離れて、俺は驚いてしまう。
リンネが、笑っていたのだ。
リンネ
「はぁんっ……んんっ、王子っ……んっ、ぁあんっ……、
まだ、痛いが……心地よさが、ふぅぁんっ……勝りはじめて、
おる……んんッ……少しは……吾にも、返させろ……んぁっ……」
そう言うと、初めて見せた微笑に勝ち気な色を混ぜ合わせ、
リンネが乱暴とさえ言える勢いで、俺の胸をその手で押した。
不測の力に流されるまま、
俺は勢いよくベッドへと背をつけた。
リンネ
「殿方の肉鉾を咥え、腰を振る……か……んんっ……、
それもまた、既知ながら未知の体験じゃのう……」
まるで新しい玩具を見つけた童女のような笑みで、
リンネは大胆にむちっとした太ももを広げ、
ゆっくりと腰を上下させ始めた。
リンネ
「んんっ、んっ……ふぁっ……ぁあんっ……これは、なかなか……、
難儀じゃが……趣のある、んぁっ……行為じゃのぅ……、
良き眺めじゃ……あっ、ああンっ……!」
不器用なリンネの腰使いと、未熟な膣内の狭すぎる刺激が、
カリ首の敏感な部分を絶え間なく刺激し、
暴力的な勢いで強い射精感を催させる。
リンネ
「ふぁああんっ! んっ……んぁっ……汝のモノが、
また大きく……ぃやあんっ、んんっ……ふあぁ……、
まるで暴れ馬じゃ……大人しく、せぬか……んっ……」
ずちゅずちゅっと、
淫らな水音の間隔が徐々に短くなり、
リンネの動きと俺の突き上げが共に加速していく。
豊満なリンネの乳房が、惜しげもなく揺れては俺を誘い、
それにつられて触れようと手を伸ばすが、
何故か彼女に払われてしまう。
リンネ
「今はっ……吾の番じゃ……んんっ、この胸は……、
先刻、十分に享受したであろう……?
んぁっ……ああんっ……!」
リンネ
「それに……今ここを触られたら……んんっ……、
どうにかなってしまいそうじゃ……ふぁっ、ああンッ!!」
それならばと、
ぷっくりと膨らんでいたリンネの恥豆に親指をあて、
小刻みに刺激してみせる。
リンネ
「ひぐッ!! ふぁ、あぁんっ!! な、なんじゃ……ひぅっ、
そこ……だめ……ぃやあんっ!! だめだと……いっへる、
のにぃっ、ひぃいいんッ!!」
初めての感覚に、大きくリンネの肢体が跳ね、
膣口がきゅぅっきゅうっと何度も締め付けてきた。
リンネ
「はひゃぁんッ!! ふぁ、んんッ、んぁっ……、
わかった……わかった、からぁぁあんっ!!
もうらめ……らめらって……ばぁ……ひぅぅンっ!!」
快楽の渦潮に呑み込まれたのか、
リンネの全ての動きが緩慢になり、
びく、びくっと、腰元が何度も震えては切なげに喘ぐ。
軽く果ててしまった事が分かると、
リンネにとってこの行為が既に十分な快感へ繋がる
ものへと転じたことを悟り、俺は苛烈な抽挿を開始した。
リンネ
「あァンっ!! やだッ……やだやだやだぁァっ!!
もうらめなのじゃっ……こんなの、しらにゃい……んんっ!
こんな気持ちイイの……ひらにゃいのにぃ……ふぁああんっ!!」
どこを擦っても快感に
うめいてしまうほどに膣ヒダが絡みつき、
根元を何度も膣口が締めつける。
魅惑的な肉付きのリンネの身体は、
男を狂わせるに足るほどに魅力的で、突くほどに、
抱くほどに、甘美なため息と情欲が漏れ出ては爆ぜていく。
リンネ
「あ、ああんっ……これがイクということなのかっ?
イクっ……イッてしまうのじゃ……、んんっ、んっ、んぁあんっ!!
こんなっ……ゃあんっ、んっ、王子ぃぃっ!!」
ついに身体を支えきれなくなったリンネが
一切の遠慮なく俺に抱きついてきた。
それを迎え入れることで、
俺はようやくその魔性の巨乳に触れることができ、
ここぞとばかりに遠慮無く揉みしだいていく。
リンネ
「ひぁぁあんっ、んんっ!
だめ、やっ、ああんっ!!
そこ、らめらって……ひぅっ、んぁっ、はぁんンッ!!」
両手で持って、双方の乳首をつまみ上げては、こね回し、
揉みしだいては吸い付きながら、
リンネの肉乳を蹂躙していく。
胸への刺激と連動するかのように、
上等な膣ヒダが亀頭と肉棒に絡みついては、
欲望を解き放てと絶え間ない快楽を与えてくる。
リンネ
「んんっ、もうだめじゃっ……吾は、吾、ふぁぁんっ……
こんなの、イク……もうイってる……のにぃっ……また、
きちゃっ……きひゃうのぉぉっっッ!!」
抽挿の速度の上昇と共に、
リンネの声が一段と高いものになり、
何度もイヤイヤと首をふって、動きを止めてと懇願する。
だが俺も射精しそうだということを囁くと、
その両眼を一心にこちらに向けて、
何度も頷いては、涙目で精一杯の笑顔を浮かべた。
リンネ
「良いぞ、出して……出して……いいから、ぁあああんっ!!
共に……果てて、んんっ……イきたいのじゃ……ふぁあんっ……、
イッて……イくのじゃ……膣中に、全部だひて……ぃやあああんッ!!」
――ビュるッびゅるびゅるるるぅぅっ!!
溜まらず噴出した白濁の欲望と相まって、
リンネの桃色の割れ目の小さな穴から、
透明な液が噴き出した。
リンネ
「ひぅああああんっ!! 熱ぃ……んんっ!!
やぁんっ……みな、見ないれぇ……気持ちよすぎて……、
いやなのじゃ……止められ……なひぃぃぃいいんッ!!」
飛沫をあげる潮に驚きながらも、
俺はリンネの胸の合間に顔を埋めるように抱きつき、
限界を超えて何度も精を吐き出した。
リンネ
「は、ああぁ……ああんんっ!!
膣中が……真っ白に、染まって……、
いくのじゃ……んんっ……こんな……ふぁっ……」
――もう出ない。
そう思ったのと同時に、リンネの腰がまた動き始めた。
リンネ
「まだ……出るはずじゃっ……んっ、んんっ!
こう、して……このま、まっ……んふぁあんっ!
あ、ああっ……これで……どうじゃっ……?」
力ない腰使いながらも、
膣壁の締め付けは緩むことなく肉棒を刺激し、
どこに隠れていたのかという量で、一度だけ精液の残りが飛び出した。
リンネ
「んひぁン!! うぁ……もう、限界じゃ……ふぁ……」
ふいに脱力したリンネの身体が
俺の胸に飛び込むように倒れてきた。
リンネ
「……すまぬ、こんなはずでは……
うぅ……はぁ、はぁ……。
んんっ……まだ、膣中に汝を感じる……のじゃ……」
謝るリンネの顔は、
晴れやかなまでの笑顔だった。
リンネ
「こんな吾がいるとは……自分のことながら、
驚くばかりじゃ……未来など、意味のないものだと思っていたのに、
なぜこうも……現在が輝いて見えるのじゃ……?」
なんでだろうな、
と俺は腕の中のリンネをより近くに抱き寄せる。
薄らとバラ色に染まる整った顔立ちには、
先日までなかったはずの愛嬌と可憐さがあった。
リンネ
「汝は……不可思議な存在じゃ……。
身体を重ねる未来を識っていても、
なぜこうも異なった現在が訪れるのじゃろう……」
リンネ
「こんなことは初めてじゃ……。
初めて……なのじゃ……」
驚きと喜びがない交ぜになったような表情で、
リンネは嬉しそうに美しい微笑みを向けてくれる。
リンネ
「ただ、これだけは分かるぞ……」
薄く開いた両眼と、
甘えた声音と笑みで、
リンネは告げた。
リンネ
「吾は……汝が好きじゃ……。
好きすぎて……おかしく……なって、しまいそうじゃ……」
そう言い終えたことで、
目標に辿り着いたとでも言うように、
リンネはゆっくりとそのまぶたを閉じた。
安らかな寝顔が、
何のはばかりもなく、
眼前に捧げられている。
――より多くの初めてが、この少女に訪れて欲しい。
ただ純粋に、そして切に願った。