モルテナ寝室1 シーンテキスト
その扉をノックすると、
奥で何かがうごめく気配を感じた。
モルテナ
「どうぞ、入ってきて良いわよ」
一瞬だけためらったが、
俺はゆっくりと扉を開けた。
――途端。
俺の胸を鋭い衝撃が奔った。
気づいた時には、
俺は二匹の獣に足蹴にされ、
仰向けに倒されていたのだ。
モルテナ
「ごめんなさい、王子。
そのコ達ったら、私の想いをそのまま行動にしてしまったのね……。
でも今の貴方、とってもいい姿よ」
けぶるような微笑を浮かべたモルテナが、
スカートの奥の下着が見えるのも意に介さず、
熱っぽい視線で俺を見下ろしていた。
モルテナ
「さあアナタ達、ここまで王子を運んであげなさい」
彼女の涼やかな言葉に従うように、
漆黒の双頭獣が俺の服を口先で挟み上げ、
悠然とした動きでモルテナのベッドへと俺を運んだ。
状況が理解できずにいる俺は、
話があるんじゃなかったのか、
と彼女に問いかけた。
モルテナ
「そうよ……貴方に話があったの」
世界中の光の束を集めたような輝かしい金髪を
ふわりと弾ませながら、モルテナはベッドへと歩み寄る。
モルテナ
「でも用意していた言葉はどっかに行っちゃったみたい」
ごめんなさいね、と全く悪びれる様子もなく言い捨てる。
同時に、モルテナの端正な顔が眼前まで近づき、
その深紅の瞳で俺をじっと見つめた。
モルテナ
「ねえ、言葉ってそんなに必要?
こんな夜更けに貴方を呼んだのよ?
……もう、分かってるんでしょう?」
熱を孕んだ甘やかな吐息が、
俺の耳たぶにそっと吹きかけられる。
そして、
奪うようなキスで口を塞がれると、
モルテナの可憐な指先が、ズボンの膨らみを強く握った。
モルテナ
「もうこんなにして……ふふ。
いつも無口な割に、ここは随分と暴れん坊なのね……。
そんな悪い子は、ちゃんとしつけてあげないといけないわねぇ」
彼女の手が俺の愚息から離れる。
次の瞬間、彼女の背後に控えていた漆黒の獣の双方が
おもむろに俺の傍までやってくると、
その牙と爪で俺の衣服を引き裂いた。
モルテナ
「綺麗な身体ね……本当に美しいわ……。
穏やかな物腰とは裏腹に、鍛え抜かれた屈強な造形……。
たぎるような力強さの奔流は、まるで野獣のそれね」
つ、と彼女の白い指先が、
俺の胸を悪賢い蛇のように這い上がる。
その軌跡が、そのまま快楽の道程だとでもいうように、
俺の身体をもどかしいまでに淡く刺激し、
意思に逆らうようにして下腹部へ血液を集約させていく。
モルテナ
「あら? また大きくなったわよ?
ふふ、もしかして被虐趣味をお持ちなのかしらぁ?」
抵抗しようにも、
黒獣達の灼眼が視界の片隅にたたずみ、
俺の行動を律するように睨みをきかせているのだ。
モルテナ
「じゃあ、こうされたらどうなっちゃうのかしらね?」
艶めかしい笑みと共に、
モルテナの手がむき出しになったペニスを包み込む。
同時にその舌先が俺の首筋にやさしく接着し、
じっくりと味を確かめるように動き始めた。
モルテナ
「ちゅ……ぅぁ……れろ……んっ……、
ふ、ぁ……れる……んン……ちゅぱ…………」
淫らに滑る舌を器用につかい、
彼女の愛撫は首からゆるやかに降下し、
焦らすようにして、乳頭へと到達した。
モルテナ
「んぁ……れる、るっ……ちゅ……ちゅぱ……、
んっ……んん……ちゅぁ……ぁ、む……」
執拗に乳首を責める彼女の舌先の愛撫が止むと、
今度はふっくらとした唇の感触でもって口づけをされる。
その間も、肉棒を包んだ彼女の指先は、
たおやかな動きによる
甘やかな刺激で俺を苛んでいた。
モルテナ
「あ、は……んん……ちゅぱっ……。
ふふ、乳首もこんなに勃たせて、
女の子みたいに切なげに喘いじゃって……」
――本当に可愛いんだから。
蜜のような声音が耳たぶに触れ、
いけないと分かっていながらも声を漏らしてしまう。
羞恥と快楽に首を絞められるような想いがした。
だというのに、
どうしようもないほどに気持ちよくて、
俺はみっともない程にがちがちに勃起していたのだ。
モルテナ
「いいわ……私にまかせて……全てを委ねなさい。
あなたの獣も、私が飼い慣らしてあげるから……」
そう言うと、彼女はゆっくりと腰を浮かせ、
見せつけるようにその見事な乳房と淫華を露わにさせた。
モルテナ
「見て……もうこんなになってる……。
貴方が悪いのよ……?
貴方がそんなにも美しく、可愛いから……」
興奮に頬を赤らめる彼女は、
そのままゆっくりと蟹股になると、
緩やかに腰を下ろした。
涎のような愛液を滴らせる淫唇が、
赤黒く肥大した亀頭の先端に触れた時、
快感と共に、奇妙な感覚を覚えた。
モルテナ
「んふぁっ……ぁ……んんっ……!」
肉扉に接着したはずの亀頭は、
未だにその通過を許されない。
見れば、
彼女の顔にさきほどまでの微笑はなく、
どこか切迫とした色がにじんでいた。
モルテナ
「気に……しないで……んっ……、
もう……挿れちゃうん、だから……、
ふぁっ……んんっ……!」
わずかに跳ね上がった彼女の声音と共に、
彼女の膣中にペニスが沈んでいく。
小さな口を限界まで開いて
俺のモノを呑み込んでいくのだが、
やはりその速度は依然として緩慢だった。
モルテナ
「いっ……ぁ、ぁあ……つぅっ……」
形の良い眉が苦しげに歪む。
モルテナ
「なに、よ……んんっ……!
ひぅっ、うぁ……ぁ、ぁあっ……大丈夫だから……、
そのままじっと……じっと、んふぁっ……あ、んンっ……」
ようやく全てを膣内に挿れ込めると、
彼女は精一杯の力で不敵な笑みを
その可憐な顔に浮かべた。
モルテナ
「もう、離さないわよ……
んっ……熱くて……、
お腹のなか、溶けちゃいそう……」
モルテナは俺の胸に両手を添えると、
ゆっくりと腰を上下に振り出した。
モルテナ
「んはぁっ、ぁっ……んっ、んんっ……、
すご……すごい、はぁンっ……イメージなんかより、
ずっと……ぁっ、ずっと……大きい……んふぁンっ……」
キツく締め付けてくる雌肉が、
彼女の腰の動きに合わせて
絶えず変則的な快楽を与えてくる。
下半身だけでなく、
胸に置かれた彼女の指先が、
ぎこちなく俺の乳首をつまみ始めた。
モルテナ
「はぁ、ぁあっ、ぁっ……どう……?
んんッ……これが、好きなんでしょう……?
……もっと、あぁっ……もっと気持ちよくなりなさい……」
上下からの異なる刺激が間断なく全身を苛み、
脳髄の奥底を鈍く痺れさせていく。
目の前でぶるんぶるんと揺れる乳房に触れようとしたが、
彼女の両腕がそれを防ぐように
俺の身体をベッドへと強く押しつけた。
モルテナ
「おとなしく……んんっ、して、いなさい……っ!
ふぁっ、ぁっ、私が……ぁあンッ……気持ちよく、
してるんだから、ぁっ……早く、イキなさいよ……っ」
彼女の乱暴な腰使いと締め付けは、
熱く濡れたヒダに包まれた俺自身に、
暴力的なまでの快楽を与えてくる。
モルテナ
「あぁンっ、んっ……ほらっ、ンっ……また、貴方のがっ……
んぁっ……大きく、んぁあっ、なってるわ……もうっ……、
射精そう、なんでしょう? はやく、射精しちゃいなさいっ!」
速さを増す腰の上下運動と、
付随してより弾む魔乳の躍動が、
どこまでも俺の射精感を高めていく。
モルテナ
「ふぅぁっ、ぁっ……んんっ、んっ……射精してよぉ……っ、
ねえ、んぁンっ……はやく、射精してぇッ……じゃないと、私……、
私ぃっ……あぁンっ……イって、お願いだから、イってよぉッ!!」
胸に置かれた彼女の手に力がこもり、
痛いほどに爪が立てられた。
同時に、彼女の陰唇がペニスの根元をぎゅっと絞り上げ、
膣内の肉ヒダが総出でうごめき立つのを感じ、気づいた時には、
俺は一気に欲望の粘液を吐きだしてしまっていた。
モルテナ
「はぁあぅっ……ぅあぁ……うぅっ、んっ、んんっ……!
入って、くるぅ……あぁぁ……これが、貴方の……ん、ぁ……、
ぁあっ……こんな、熱いなん、て……んんんッ……!!」
精液が注がれる度、彼女の身体がビクビクッと震えた。
その感覚に耐えかねたのか、
突然、モルテナの身体から力が抜け、
俺の胸へと倒れ込んできた。
モルテナ
「――きゃぁっ!
んっ……ふ、ぁあ……ご、ごめんなさい……んんっ……、
こんなに痛くて……辛いことだなんて……知らなくて……」
その言葉に、俺は驚く。
そして、
倒れた拍子にすっぽ抜けた自分のペニスを見て、
またも驚いてしまう。
愛液と精液の混じり合った粘液に、
うっすらと散華の朱色が混じっていたのだ。
モルテナ
「初めて……だったのよ……悪い……?
慣れてる女の方が……良かった?」
今にも泣き出しそうな顔で、
モルテナは俺に言った。
モルテナ
「だって……好きになっちゃったんだから……、
しょうがないじゃない……」
それまで取り繕っていた彼女の威勢が、
嘘のようにはがれ落ちていく。
モルテナ
「私……初めて人間を好きになったんだもん……。
貴方に、私を知ってほしくて……こうするのが一番だって……、
で、でも……下手じゃ……なかったでしょ……?」
モルテナの風貌と平時の態度から
俺は根拠の無い思い違いをしていたようだ。
目の前にいるのは、
ただ一心に俺を慕ってくれていた
純真無垢な乙女だったのだ。
モルテナ
「今度は、もっと上手くできると思うから……。
だから、嫌いに……ならないで……。
……何だったら、このままもう一回しても、なんて……あはは……」
……気づいて、いないのか。
彼女は笑いながら泣いていた。
モルテナ
「王子にとって私なんて……大勢の仲間の一人かもしれないけど……、
でも、私にとっては初めて……好きになった人、で……、
だから……乱暴にして……ごめん……本当にごめ――んンンッ!?」
愛しさが、胸先で爆ぜた。
途方もない想いに衝き動かされ、
俺は彼女を強く抱き寄せて唇を奪った。
モルテナ
「んっ……ふむぁ……んんっ……むぁ……ぁ……、
ちゅ……ちゅ、ぁ……ぷぁ……はぁ……はぁ……」
困惑に瞳を潤ませ、
火照った頬と涎の滴る唇で、
彼女は言葉を何とか口にした。
モルテナ
「ど、どうした……の?
いきなり……え? えっ?
――きゃぁッ!?」
俺はそのままモルテナを押し倒した。
不安げに上目でこちらを覗う彼女を
俺はしっかりと見つめた。
モルテナ
「もう一回……するの……?」
――今度はちゃんと愛し合いたい。
俺は持てる限りの優しさで言葉を紡ぎ、
彼女の頬に手を添えた。
モルテナ
「……うん。いいよ……」
彼女は大きく一度だけ頷くと、
それまで強ばらせていた顔を、
穏やかな笑みでもって緩ませた。
モルテナ
「今度は、痛くないと……いいな……」