フォニア寝室1 シーンテキスト
フォニア
「なるほど、人類はこうして愛情を確かめるというのですか」
寝台に横たわったまま、
フォニアは二人の繋がりあった場所をまじまじと眺めている。
しっとりと濡れた彼女の秘所は、
存外にゆるやかに、優しく俺を包み込んでいた。
フォニア
「……痛くないのか、ですか?
いいえ、痛覚くらいどうとでもなりますから」
フォニア
「もしやあなたは、私に痛みを感じさせようとしたのですか?」
いらぬ心配だったか、と肩をすくめる。
フォニアが痛みを感じていないのなら、
それに越したことはないのだから。
フォニア
「人類は物質同士を組み合わせることで、
一体感を得るということでしょうか」
フォニア
「なるほど……確かに、私には穴状の器官があり、
あなたには棒状の器官がある」
フォニア
「これらを組み合わせるように、
あなた達は創造されているのですね」
普段の動かぬ表情のまま、
しかし興味深そうにフォニアは頷いている。
――そもそも、こうしてフォニアと交わっているのは、
彼女が人類のことを更に教えて欲しいと願ったからだった。
半ば冗談で、しかし残り半分は彼女に対する押し隠せぬ興味故に、
愛情の確かめ方を教えようと、寝室へ招いたのだった。
フォニア
「しかし、充足感には程遠いですね」
フォニア
「ぴったりと形状が一致すること、
それが愛情の確認方法なのだというならば、
少々稚拙に過ぎるのではないかと」
それだけではないぞ、と囁きかけ、緩やかに抽挿を開始する。
痛みを感じないというのが、
強がりであるという可能性は捨てきれない。
初めての交わりであろうフォニアに、
負担をかけぬよう慎重に腰を動かしてやる。
フォニア
「……変な気遣いをしていませんか?
それに、こう、少々間抜けな動作のように見えますが」
フォニア
「私の穴状器官の中に出し入れする行為には、
いったいどんな意味が……?」
十分過ぎる程に濡れたフォニアの膣道は、
一切の抵抗なく肉棒を受け入れ、滑らかな抽挿を許してくれた。
男根を濡らす鮮やかな赤は、
やはり彼女が性行為を初めて経験することを意味している。
フォニア
「……え? これから……わかる、ですか?」
フォニア
「……意味がわかりません。
その間抜けな前後運動が、どのような意味を持つのか……」
フォニアの表情は変わらない。
普段と変わらぬ仏頂面で、じぃ、と結合部分を見つめている。
フォニア
「ん…………ふぁ……けれど……そうですね……」
フォニアは、微かに柔らかな声色で、
フォニア
「私の中に……んぁ……あなたを受け入れているという事実、
それ自体は確かに、心を満たすものではあるのかもしれません」
フォニアの声に、小さな喘ぎが混じるが、
彼女は自身のその変化に気付いていない様子である。
フォニア
「私……が……? ひぅっ……ぁ……そう、ですね……」
彼女が感じたのは、戸惑いだろうか。
しばしの無言が続いた後、次にフォニアが紡いだ言葉は、
フォニア
「知らない……ふぁっ……感覚……です……」
フォニア
「どんな感じか……ですか……?」
フォニア
「陽光を浴びている時のような……、
あたたかさに……んぅっ……包み込まれている感じ、でしょうか」
フォニア
「ただ形状が一致する器官を結合して……ひぁっ……
前後に動かして……いるだけだと……いうのに……ぃああっ」
ひくひくとフォニアの膣口が収縮し、
くすぐったい快感が肉棒に与えられる。
遅々とした抽挿運動であっても、
フォニアは徐々に、心地よい感覚を覚えつつあるようだった。
フォニア
「これが……心地よい……ですか……?」
不思議そうに、しかし得心したように頷くフォニア。
普段から、何があろうと表情の変わらぬ彼女の頬に、
微かに朱の色が差している。
フォニア
「……なるほど、とても興味深……んぁああっ!?」
唐突に、フォニアが甘い嬌声を漏らす。
驚いた様子の彼女に、どこが良かったのかと問うてみると、
フォニア
「……良かったのかどうかは分かりませんが」
彼女はそう前置きをして、
フォニア
「一番奥のところを、こつんこつんと叩かれると……
目の前が白く光って……何も、考えられなくて……」
なるほど、とひとつ頷き返す。
肉棒をフォニアに深く突き刺したまま、
最奥を小刻みに、優しく小突いてやる。
フォニア
「ひゃぅっ……や……いや……だめです……」
フォニア
「これ……へんです……あぁっ……おかし……く……!」
フォニアの視線は、宙空をさまよい、
半開きの唇は、空気を求めるようにわなないている。
時折微かな反応を見せるのみだった彼女の秘所は、
喘ぎの声に呼応するように、肉棒をさらに求めるかのように、
不規則に俺を締め付けて来た。
フォニア
「目の前……ちかちか、して……ひぁああぁっ!?」
繋がりあった部位を通じて、
フォニアの感覚が伝わってくるかのような錯覚を覚える。
フォニア
「だめ、です……っ!
これ以上は……壊れちゃ……ひやぁッ!?」
互いの快感が、渦を巻いて循環するような感覚。
繋がりあった性器を経路にして、幾度も快楽の波が行き来する。
抑えきれない射精への欲求と、
まだフォニアの中を味わいたいという欲求がせめぎ合う。
フォニア
「ぁ……あぁ……ひぁああああああッ!?」
フォニアの背がのけぞり、膣口がきつく肉棒を締め付け、
達したという事実を俺に伝えてくる。
抗いがたい強い刺激に抗うことが出来ず、
ここまで押し込められていた精液が、
決壊したように解き放たれた。
フォニア
「きゃぅ――ッ!?」
フォニア
「ふぁ……ぁ……んぅ……」
フォニア
「びくびく……して……なんですか、これは……?」
フォニア
「私の穴状の器官の中に……何か出しましたね……?」
いつの間にか、普段の仏頂面に戻っているフォニアは、
非難めいた視線をこちらへ向けてくる。
フォニア
「私はお手洗いではありません。
老廃物の排棄は別のところでお願いします」
フォニア
「…………はい? 今何と?」
フォニア
「私に注いだものは……子種である、と?」
フォニア
「度し難い愚か者ですね、あなたは。
天使と子をなそうとでも言うのですか」
白い裸身をさらしたまま、フォニアは肩をすくめる。
その声色には、馬鹿にしたような響きも、抗議の色もない。
ただ、呆れたような雰囲気だけが伝わってくる。
フォニア
「なるほど、子をなす行為は、
確かに愛情を交わすものであると理解出来ます」
フォニア
「しかし私は、人類より上位に存在するものとして、
より深遠にして広大な理解を得ました」
フォニアは微かに――彼女にしては随分と――自慢げに、
こちらへ教授するかのような口調でこう続ける。
フォニア
「この行為は、子をなす以上の意味を持っています」
フォニア
「体温を分け合うかのような、肌の触れ合いは、
心を許した、好いた相手でなければ出来ないものです」
フォニア
「こうして裸を見せ合うという時点で、
交わる相手に心を許しているという、言外の宣言に他なりません」
フォニア
「更には、相手を深く愛さねば、先の私がされたように、
取り乱す程に気持ち良くさせることは不可能でしょう」
どうですか、とフォニアは誇らしげに語る。
人間にとっては当たり前のことであっても、
彼女にとっては初めて触れる営みなのだろう。
当然のことだ、と軽く扱うことは出来なかった。
フォニア
「――何ですか、その嬉しそうな顔は」
フォニア
「新たな見地を得たことに感動しているのですか?」
フォニアの様子を愛おしく想いながら、深く頷き返す。
これまで彼女が触れることの無かったものを、
これからは色々と教えてやろうと、密かに心に決めた。
フォニア
「殊勝な態度ですね。良いでしょう」
フォニア
「私が人類について新たな理解を得た時には、
あなたにその智慧を授けることを約束します」
それから、フォニアはしばし考え込み、
恐る恐るといった口調でこう続けたのだった。
フォニア
「しかし、困ったことがあるのです」
フォニア
「先程の私の理解が正しいとするならば、
私を心地よくさせたあなたは、そして私は――」
フォニア
「――互いに好意を寄せ合っている、ということになるのでは?」