aigis058

フィリス寝室1 シーンテキスト

どうしてこうなったのだろう……。

エッチをするため、
寝室に呼び出したというのに、
まさか剣を抜かれるとは。

フィリス
「はっ!」

フィリスの剣が横に奔る。

フィリス
「……さすがは王子。
私の剣を軽々と避けるとは……」

剣を構え直し、睨み突けてくる。

フィリス
「私の我が儘に付き合ってくれるのは、
あなたぐらいだ。必ずこの恩に報いる」

寝室の中だというのにフィリスは
軽やかなステップを踏むように動き回る。

フィリス
「私は……絶対に、勝つ!
この胸の内で燻っている思いを断ち切るため!」

女ならではのスピード重視の剣舞は実践では、
十分活躍することだろう。

フィリス
「はぁ……はぁ……。
ここまで一太刀もあたらないとは……さすが、
王子ですね」

フィリス
「ですが、このままでは終わらせません!」

剣を構え腰を落とす。

フィリス
「…………いきます」

床を蹴りフィリスは真っ正面から挑んでくる。

フィリス
「覚悟、王子!」

重い一撃を打ってきたがそれを剣で受け流し。

激しい剣戟を連続ししかけてくるが、
体力を失いかけているからか次第に
足取りが重くなってきた。

フィリス
「やっ! はあっ!」

フィリスの足下がもつれ始める。

フィリス
「やっ! なぜ……逃げる、王子!
あなたは防ぐばかりだ!
それでは勝つことはできない」

無闇に打ってくるフィリスの足下を払う。

フィリス
「あ……っ」

体力を奪われたフィリスは抗う術はなく、
床に倒れた。

体を起き上がらせようと手を差し伸べる。

フィリス
「一人で立てるっ!」

差し伸べた手を払いのけ、
フィリスは立ち上がった。

フィリス
「はっ……はっ……なぜ、剣をしまう。
王子、今日はこのぐらいにするということか」

フィリスは悔しげに口元を歪め、
目を閉じる。

フィリス
「……無駄に剣を振るっても意味はないな。
いたずらに体を苛めているだけだ」

フィリス
「私の上司が王子でよかった、
と今日ほど思ったことはない」

フィリス
「私は必ず父親の仇をとる!
それまでは……付き合ってもらえないだろうか?
……ありがとう」

フィリスは鞘にしまい、額から流れる汗を拭い、
スッキリとした笑みを浮かべた。