ニエル寝室1 シーンテキスト

気分転換に森で散歩でもいかがですか?
とケイティから言われ、静かな森を一人
歩き進む。

鳥のさえずりや木々のざわめきを聞いていると、
魔物が世界にはびこっていることなど、
忘れてしまいそうなほどの空間がそこにはあった。

たまにはこういうのもいいかもしれない。
そう思い、ふと空を見上げた時だった。

突如遠くの方でバシャーンという何かが
水に落ちたような音が響き渡った。

もしや魔物か? と思い、音のした方向に足を進める。

段々と向こう側から大きな湖が見え、
その隅になにか人影らしきものがいることに気づいた。

辺りを気にしている様子の相手に
気付かれないよう、自身の気配を消す。

息を潜めつつ木の陰に隠れそっと人影の方をみると、
そこにはニエルがびしょ濡れになった状態で立っていた。

ニエル
「誰も、いない……よね」

近くにある木に濡れた服がかかっているのを
見るあたり、どうやら湖で水浴びをしていたようだ。

見知った顔だったことにひとまず安堵し
彼女を見るが、その姿は言葉を失うほどに
美しかった。

真珠のような肌と光を受けて反射する金色の髪、
まるで海の底をイメージさせるその瞳は、
吸い込まれそうなほど深い蒼を映している。

水で濡れ肌が透けたその様は、思わず自分の手で
汚してしまいたいほどの独占欲をかきたてられた。

ニエル
「気持ちいい……」

そう呟きながら、ニエルが空を仰ぐ。
白い羽がゆっくりと広がり、前髪についた雫が
彼女の頬を濡らした。

湖に空が映し出され、そこだけこの世ではないような
空間は俺の目を奪って離さない。

出会った初めのころは羽に驚いたが、
今では共に戦う仲間なのだから不思議なものだ。

今すぐ押し倒して彼女の違う表情を見てみたい。
頭の中でそう想像するだけでも俺の鼓動が
早くなる。

微かに火照る頬に触れ、ニエルの体をじっくりと
眺める。

誰も触れたことのないその体に舌を這わせ、
ニエルの感度を確かめるようになぞっていく。

頭の中のニエルはどんどん積極的になり、
俺の体が熱くなり始める。

目の前にいるニエルの無防備な姿は、
俺の想像を膨らませた。

ニエルに声をかけようとして足を踏み出そうとしたその時、
俺はあるものが目にはいり動きを止めた。

それは彼女には本来あるはずなかった。

しかし何度見てもそれは確かに存在し、
俺は息をのんだ。

そう、たしかに彼女には男のソレがついていたのだ。

彼女を見るが、少年のようには見えなかった。
確かに中世的な顔立ちで美少年と見えなくもないかも
しれないが、膨らんだ胸、言動や行動はまさに少女だ。

俺はそのまま声をかけることはせず、
言いようの無い感情を抱いたまま
その場を去った――。