サンドラ寝室1 シーンテキスト
サンドラ
「私の誘いに乗ってくれてありがとう。
一般兵じゃ私の相手にならないのよ」
そういってサンドラが退屈そうにため息をついた。
サンドラ
「他の隊長はなかなか捕まらないし、
私が女だからって舐めているのかしら」
少し眉間にシワを寄せつつ、サンドラが剣を構える。
言葉とは裏腹に剣先はぶれることなく俺に向けられた。
サンドラ
「まさか……王子も私を舐めてるわけじゃ
ないわよね?」
サンドラ
「私は何よりも強くありたいの。
女だからって、甘くみられちゃ困るわね……」
すっとまっすぐに自分を見据える。
その構えに俺も自身の剣を抜いた。
両者とも隙は見せず、そのまま静かに静止する。
開けた場所に風が吹き、草木が揺れていた。
――その一瞬だった。
同時に足を踏み入れ、剣を振り上げる。
キィインッっと鉄同士の弾く音が響き、
素早く次の動きにはいる。
サンドラ
「さすがは王子ね。一発目からの反応が違うわ……。
でも、まだまだ……っ!」
そう言い放ちサンドラが再び切りかかってくる。
しかし放たれる攻撃をぎりぎりで避けつつ、
俺は体をひねり前に踏み出す。
サンドラ
「くっ……」
あっさりと受け止められたことに彼女の表情が
険しくなる。
踏み出されたことでとっさに距離を取った
サンドラは、しかし冷静に状況を見極めている。
サンドラ
「随分と余裕じゃないの。
さすが一国の王子。だてじゃないってことね」
いつも相手にしている者との違いを感じて
いるのだろうか、わずかに彼女が微笑を浮かべた。
風切る音が耳に響くなか、彼女からは激しい剣さばき
が繰り出されていく。
しかしそれが当たる気配はなく、
サンドラの額にはうっすらと汗がにじんでいた。
サンドラ
「はぁっ……。じゃぁ、これなら……どうかしらっ!」
サンドラがそう叫び、ギィインと俺の剣先を弾いた
瞬間一歩前へと踏み出る。
俺がわずかに体勢を崩し、後ろによろけた。
サンドラ
「もらったわ……!」
彼女の剣先が俺に届こうとしたその時、
俺はとっさに剣の柄頭でそれを弾き返し
体勢を取り戻す。
弾かれたことで前にバランスを崩した彼女に、
俺は攻撃を仕掛けた。
サンドラ
「……!」
ぎりぎりで俺の攻撃を見極めたが遅く、
彼女の後ろを取ると顔の横に切っ先を構えた。
サンドラ
「……負けたわ。……私の剣がかすりもしない
なんてね」
そういって彼女がため息をはいた、その瞬間だった。
サンドラ
「……きゃぁっ!」
なにかに気づいたのかサンドラが悲鳴を上げる。
彼女の視線をたどると
そこは俺の攻撃によって衣服が破れ、
下着があらわになっていた。
おそらく先ほどの俺の攻撃を避けた際に、
剣先がかすめたのだろう。
サンドラ
「み、見ないで……っ!」
慌てて破かれたところを隠すように手で押さえる。
顔を真っ赤にした彼女は剣を納めると、
口をパクパクさせている。
サンドラ
「きょ、今日は稽古に付き合ってくれて
ありがとう……っ、そ、それじゃあ……!」
言い捨てて、彼女はバタバタとその場から駆け出した。
去っていく彼女を見つめつつ、
稽古はそのまま終了した。