アンナ寝室1 シーンテキスト

魔物が復活して王が倒れ、
自分が王子として戦っている今まで
ずっと政務官として側にいた彼女。

彼女――アンナの存在は俺にとっては大きく、
また頼りになる仲間でもあった。

アンナを寝室に呼び、彼女と会話をする中で
俺はふとそう思い返していた。

アンナ
「でも、私嬉しいんです……」

アンナが俺をまっすぐに見据え、
近づきつつニコリとほほ笑んだ。

アンナ
「王子にやっと呼んでいただけた……。
政務官としてずっとお側にいましたが、
なんだか嬉しくて」

アンナ
「……私もこのベッドで他の彼女たちのように
抱かれたい、と思っていました」

アンナが胸に手を当てて嬉しそうに
そう告げた。

いつも中々自分のことを話さない彼女だが、
逆にいつも側にいたからこそ言わなかったの
かもしれない。

言わずともわかる。
そう思っていたところがあるのは事実だ。

アンナ
「王子と出会い、共に戦うと決めた時から
私のすべてはあなたのものです」

さらっと銀色の髪が彼女の肩を滑る。

目が離せないほど綺麗で、あぁ、彼女はこんなにも
女性としての魅力に溢れていたんだ。と
改めて確信した。

アンナがゆっくりと衣服に手をかけ、
肌を露わにしていく。

アンナ
「な、なんだか緊張します……」

アンナの服がベッドの下に落ち、
形の整った綺麗な胸を見せた。

恥ずかしそうに胸を隠す彼女を押し倒し、
互いに見つめ合う。

アンナ
「王子……」

わずかに染まる頬と滑らかな肌に
触れようと手を伸ばした。

彼女とこの関係になるまでの間の事が
頭の中で蘇る。

そう思ったとき、彼女に触れようとした俺の手が
止まった。

アンナ
「……?」

彼女の事はおそらく俺が誰よりも知っている。
それはまるで家族のような――。

このまま彼女を抱いてしまったら、
彼女との関係はどうなるのだろうか。

そう思ってしまうと、頭の中がぐるぐると
巡りだす。

尻込みしているのか?
今までとは違う感覚に俺が戸惑っていたその時だった。

そんな俺を察したのか、アンナが両手を伸ばし
俺の顔を包み込む。

アンナ
「……良いんですよ、王子」

アンナ
「変わることなんてありません。
私の想いが、王子へのこの想いが
変わることなんて、ありません……」

優しく、まるであやすように諭すように
繰り返し俺に語りかける。

その言葉に導かれるように俺は再び覚悟を決め、
彼女のその肌に触れようとした。

その時――。

ドンドンッ!

兵士
「王子! 敵襲です!」

急にあたりがざわつき始め、寝室の扉の外でバタバタと
兵士がそう告げてきた。

兵士
「多数の魔物を確認! 急ぎ準備をお願いします!」

突然のことに一瞬意識が固まってしまったが、
すぐに状況を理解しアンナから体を退かす。

アンナ
「……仕方がないですね。
王子、急ぎ戦の準備を致しましょう」

少し残念そうに話す彼女に、俺は内心ホッとしつつ
すぐに衣服に着替え始める。

戦の準備がある為、俺は剣を手にすると寝室を後にした。