アメリ寝室1 シーンテキスト

晴天の解放感と、
穏やかな小波が奏でる心地よい水音が、
船上独特の揺れと相まって、航海の興奮を高めてくる。

今日は晴れて良かったな、と
遠くに見える水平線を見つめながら
俺の腰元に身を屈めるアメリに言った。

アメリ
「お願い……じっとしてて下さい」

――航海士アメリ。
無表情が標準装備の彼女は、
俺のペニスを片手で握ってじっと見つめている。

アメリ
「……これが、通常サイズ?」

抑揚の無い声。
言葉の意図だけを伝えることに特化したような
味気ないアメリの問いかけに俺は頷いた。

アメリ
「そうですか……じゃあ今から始めますね」

そう告げると、
アメリは白手袋に覆われた小さな手で
男根をゆっくりと前後に扱き始めた。

アメリが、修理したばかりの自前の小型船の試運転をするから
よかったら乗ってみますか、って言うからついてきてみれば、
まさかこんなことになるなんて思いもしなかった。

アメリ
「集中してください、王子。
それとも、これじゃあ興奮できないですか?」

いや、と首を振ると、
そうですか、とだけ言って、
再びアメリはペニスを扱き始める。

アメリ
「王子には悪いと思ってます。
でも、知りたいの……」

アメリ
「成人男性の性器が、
外的刺激と視覚的情報の受容によって、
どのような反応をするのか、ただ知りたいだけなの……」

曇りない金色の瞳を向けながら、
アメリは平然とそう言った。

その間も、
彼女の指先は単純な前後運動で
陰茎を刺激していく。

アメリ
「徐々に硬度が増してきてる……。
性的興奮を僅かにだけど触覚にて確認。
王子、気持ちいいんですか?」

まあ、としか返せない。

何なんだこの状況は……?
と思いながら、彼女の無機的な手の動きが、
意外と気持ちよかったりするから困る。

かつてここまでの無表情で
俺のペニスをいじくり回した女がいただろうか。

アメリ
「外尿道口から透明な粘液が出てきた……。
性器の硬さもどんどん増してる……」

アメリ
「恋愛感情のない相手からでも、
この程度の単純な外的刺激だけで
完全な勃起を誘発させるんですね……なるほど」

ペニスの先端に彼女の指が触れ、
ゆっくりと粘液を亀頭全体に塗り拡げていく。

少し強めな指先の感覚と、
硬めの白手袋の感触によって、肉棒の先端から腰元まで
じわじわと痺れのような快楽が与えられる。

アメリ
「両手でやってみたら、
もっと気持ちよくなりますか……?」

俺に、というより、
自分の疑問に対して言うと、
アメリの左手が肉竿に添えられた。

まるで祈りを捧げるような格好で
アメリは両手を揃えて
ごしごしと男根を扱いていく。

アメリ
「今、ビクンって動きました。
あの……これって気持ちいいってことですか?」

ぶっきらぼうな口調と挙動が、
反り返ったペニスに向けられる。

返事のかわりのように、
無意識に陰茎が
一度だけ大きく跳ね上がった。

初めての奉仕であろう彼女の手の動きは粗雑極まりないのだが、
その乱暴さと手袋の質感が絶妙な案配で俺の興奮を
増長させていくのが、なぜだか悔しかった。

アメリ
「王子……というより男っていうのは、
随分と単純なものなんですね……」

冷たい言葉を投げながら、
彼女は左手をペニスから離し、
ゆっくりと自分の服の裾をつかんで引き上げた。

すると、
水兵特有の奇妙なコケティッシュさのある
制服から、黒い下着が姿を現した。

アメリ
「どう? これって興奮しますか?
視覚情報から、どの程度興奮度が増すのかも
教えてほしいんですけど……」

幼さの残る白肌の体躯と妖艶な黒に彩られた下着によって
生じた背徳のコントラストが、奇妙な感慨を俺に覚えさせ
自分でもよくわからないくらいに興奮していくのを感じた。

アメリ
「んっ……また、大きくなった……。
なるほど、私の未発達な身体でも、
こんなに興奮するんですね……」

無感動の言葉とアメリのその独特の眼差しが、
さらなる興奮を俺の身体に注入していく。

こうやって一方的に責められるのも悪くは無い。
アメリも何だか楽しんでるような気もしなくも
ない。とりあえず最後までさせてみるか……。

アメリ
「……変態」

――ッ!?

なんだ今の感覚は……。
不意をつかれたからだろうか、
はたまたアメリに言われたからだろうか。

気づくと、
俺は間抜けなほどに息が荒くなっている。
胸がちくちくとした妙な感覚に苛まれていた。

アメリ
「ふむ……聴覚からの情報でも、
こんなに反応するのですね……」

じゃあこういうのは?
とアメリが俺を見つめながら言った。

アメリ
「おにいちゃん……アメリのいやらしい手コキで
たっくさん気持ちよくなっていいんだからね?
おにいちゃんのオチ○ポミルクいっぱいお顔に出してねッ♪」

――ッッッ!?

どっから出したんだその声は、
と思わず叫びたくなるような甘ったるい韻律で
アメリが何だか卑猥な言葉を連呼している。

そのくせずっと無表情で
クチュクチュとわざとらしく音立てながら
ペニスを責め続けるもんだから、手に負えない。

なんでこんなに自分が興奮してるのかが分からない。
とにかく悔しい。
それだけははっきりしていた。

アメリ
「……今の王子、
すっごくバカみたいですよ……」

気づくと、いつもの無表情と静かな声で
さりげなく罵倒されてるのだが、
それすらも快楽に切り替わっていく。

知らないうちに俺は
さらなる快感を得ようとして
自分から腰を動かしていることに気づく。

アメリ
「焦らないで、王子。
こうしてほしいんでしょ……?」

ゆっくりと
アメリの愛らしい端正な顔が
先走る汁で泣きじゃくる赤黒い亀頭に近づいた。

チュッと小さな音を立てて、
アメリの唇がペニスの先端にキスをすると、
今までとは違う柔らかな刺激に身体が奮えた。

アメリ
「ちゅぅぅッ……ちゅむっ、んぁ……ちゅるるぅッ」

鈴口を吸い上げるアメリの唇のぬめりと、
暖かな感触に
太腿部分から腰骨に痺れるような刺激が走る。

俺の反応を確認すると、
アメリはゆっくりとその薄桃色の唇で
優しく亀頭を包んだ。

アメリ
「んっ……はぁ……あむぅ……ふぅ、ぁっ……んふぁっ……
ちゅぅぅッ……ちゅぷるるっ……ちゅるぅっ……あ、はぁ……」

本当に初めてなのかと思うほどの舌使いだった。

ちゅぷちゅぷっと、控えめかつ単調な動きではあるが、
肉棒をけなげにしゃぶる様はあまりにも淫猥だ。

見れば、アメリの真白い頬が赤く染まっている。
さらに驚いたことに服の裾をたくし上げていたアメリの手が、
自分自身の胸をもぞもぞと愛撫しているようだった。

興奮してるのか、
と俺が問いかけると、
ペニスを頬張ったままアメリが小首を傾げた。

アメリ
「わふぁらない……れも……じゅるっ……、
ちゅぷぁっ……なんらか……へんな……かんひがふる……、
んっ……んふぁ……んむぅ、ちゅぅ……じゅるるるぅっ!」

ペニスを咥えたまま喋るアメリ。
その息づかいに
少しだけ淫らなものを感じさせ始めている。

彼女も興奮しているのだということを悟ると、
俺はそれまで抑えていた欲求を解放させて、
彼女の小さな口の中に思い切りペニスを押し込んだ。

アメリ
「――ンンッ!? ふぐぅっ、んんッ……!」

唐突にねじ込まれたペニスの暴威に
アメリが苦しそうに眼を細めた。

普段見られない彼女の困惑とした表情に、
爛れた征服欲が満たされていくのを感じる。

アメリ
「んんんッ! ふんンっ……んぁ、ふぐぅっ……!
じゅぷ、ぢゅぷぅるるッ!
ふンンっ……んぶっ……ちゅぷぁっ……!」

なんとか鼻で息をするアメリの口内を
怒張しきったペニスで引っ掻き回すと
困ったように眉をひそめた。

ぱんぱん、と俺の太腿を叩いて
直ちにやめるようにと懇願する涙目のアメリに、
さすがに気が引けて俺は腰を引いた。

アメリ
「……ぷはぁっ……はぁ、ハァ……んっ……、
あっ……ふぁっ……こ、こんなの……だめ……
はぁ、あっ……これじゃあ、検証にならない……」

少しだけ怒ったような表情で、
アメリは荒くなった息を落ち着かせると、
唾液と雄汁でびちゃびちゃになった口元を袖で拭った。

アメリ
「王子は……私がイかせるの……。
もう、動いちゃだめ……」

いい?
と念を押すような強めの視線を向けるアメリに
俺は頷いた。

首肯を確認したアメリは、もう遠慮しないから、
といった様子でペニスを掴み直すと、先ほどのお返しとばかりに
グチュグチュと大きな音を立てて激しく手を動かした。

アメリ
「もう大体のことは分かったから、
さっさと射精してください王子……わかりました?」

俺を睨みながら肉棒を扱き続けるアメリが
何だか妙に可愛かった。

アメリ
「ほら……はやくしてください……。
正直言うと、もう飽きてるんだから……」

だったらさっさとイかせてみろヘタクソ、
と俺はアメリを焚き付けるような言葉を放る。

アメリ
「――なっ!?
こんなに勃起させてるくせに……
気持ちよくないわけ、ないのに……」

プライドを傷つけられたのか、
アメリは悔しそうに肉竿を前後にしごく。

正直、もういつ射精してもおかしくないのだが、
ここで出したら負けな気がする。

アメリ
「なんで……おかしい……んっ……、
やり方が間違ってるの……?」

平時なら絶対みられない焦燥の表情が
なんとも愛らしい。

アメリ
「ねえ、どうしたら出るの……?
教えてください、王子……?」

苛立ち混じりの小さな声に、
人を実験道具みたいに扱うやつには
教えてやらない、と返す。

アメリ
「だ、だって……んっ……
ビクって……なってるのに……
おかしい……おかしい、よ……」

何だか泣きそうな顔になってる。

アメリにしては凄く人間味のある表情だった。

アメリ
「お、おねがい……王子……」

聞こえないな、と言い捨てる。

アメリ
「お願いですから、射精してください……!」

そう言うと、
悔しそうに口をきつく結んで
アメリがより激しくペニスを扱いた。

お願いされなくても、
とっくに限界を超えていた射精感は、
勝利したという感慨と共に外界へ解放された。

アメリ
「――ひゃぁうッ!?? んっ、ふぁっ……!
いきなり……んっ……こんなに、出るなんて……ッ」

冷静さがトレードマークのアメリが、
勢いよく飛び散る精液に困惑している。

アメリ
「も、もう止めて……くださいぃ……、
服が……べちゃべちゃに、なっちゃうよぉ……」

そう言いながらも、
男根を握る手の前後運動を止めないのだから、
アメリのやつ、かなり錯乱しているな。

アメリ
「もうやだよぉ……
おにいちゃんの精液……もういらないのにぃ……」

――ッ!?

さきほどの甘ったるい声の到来に、
彼女が意図的に
演技をしていたということを悟ってしまう。

みれば、精液の付着した
アメリの口端が、小さく笑みの形に歪んでいる。

アメリ
「……これで射精も完了ですね。
単一情報による刺激だけでなく、一連の状況変遷によって
興奮度は大きく変わるということもよく分かりました」

多くの部分が精液によって白濁した黒い水兵制服を
一瞥したアメリは、これが王子の興奮度の指標です、
とでも言うように服の裾を持ち上げて見せつけてきた。

アメリ
「全部計算通りです。
王子って……ほんとバカですね……」

憎たらしい言葉を投げつけて、
アメリはきびすを返した。

アメリ
「船内で着替えてくるから……。
ついてこないでくださいね……王子?」

つまらなそうにそう言って、
アメリは俺をおいて
船内へと消えていった。

なるほどね……。
ぜーんぶアメリの思惑通りだったわけか。
あっそ。よくわかった。

じゃあつまりはさっきの台詞も『ついてこい』って意味だよな?
どこまで計算尽くなのかは知らないが、
ここまで来たら徹底的にやってやるよ。

そう決心して、
俺はズボンも履かずに
船内のアメリの部屋へと向かうことにした。